
私は従業員数十名以下の中小企業で、男性で営業事務をで15年以上経験しています。
女性が多い職種なので、珍しいほうかと思います。
うち、10年はマネージャーとして仕事の配分や改善点を考え実行する立場でした。
同時に採用担当として、営業事務員も含め他の職種の人の採用にも従事していました。
今は無職ですが、たまに手伝いをしている会社で同様のことをしています。
AI化により、将来事務職(正確には事務アシスタント)は不要になると言われています。
事実、メガバンクが一般職の採用を辞めている現状があります。
本当に事務職(事務アシスタント)はいらなくなるのか?
自分が経験してきた営業事務職の現場の変遷から、検討してみようと思います。
事務職(事務アシスタント)を目指している人がいれば、考えるきっかけになれば幸いです。
目次
まず結論:受け身で、対人折衝業務ができない事務員はいらないです。
①古典的な事務員(書類選考で不採用です。)
ファイリングをする、データ入力をする、伝票発行をする、営業や現場への連絡をする。
スケジュールを管理する秘書業務、役員の出張の手配。
⇒基本的には、細かいことも含めて誰かの指示を必要とする人です。
このような業務や会社は、AI化のような大袈裟なことを言う以前に、すでに需要が減っています。
現在は、最低限行わないといけないことだけが残っている状態。
今後もゼロになることはありませんが、需要としては減る一方です。
なぜなら、このようなことを主業務としている会社は、デジタルリテラシーの低い年配のえらいさんが在籍しているケースが多いです。
そのようなこともできない人は、すでに大半が60歳を超えているケースが多いです。
そのような方の退職に伴い、2030年頃には需要は激減します。
②今、需要のある事務員(最低限、面接まで行ける事務員)
「古典的な事務員」の仕事は一通りできる。
かつ緊急度や重要度に応じ、営業や現場の代わりに一人で全部仕事を完結できる。
その緊急度や重要度の指標も、自分で考えることができて、かつ反感を買わない。
かつ、英語が堪能。
⇒端的にいうと「空気を読む力が強く、実行に移せる人」です。
クレーム受付から処理や再発防止まで実行/見積回答を値付けまで、すべてできる/在庫管理や発注もできる。
しかし、かなり大ごとな案件や、対応をこじらせると面倒なことになりやすい案件は、営業担当や現場に一報を入れてから動く。
一報を入れる基準は、自分で考えることができる人。
人間的で泥臭いことを感じる力が必要な為、機械に置き換えることは難しいです。
日本国内で需要が完結することも減っている為、英語が堪能(TOEIC700点以上)な人も必要です。
③今後必要になる事務員(面接で合格になる人)
上記までの素質はすべてある。
かつ、顧客が必要とするサービスや情報を、個別に対応し企画し実行できる人が必要です。
また、企画実行したことを標準化したり、様々な問題点を分析し改善し標準化/平均化できる。
そして一番大事なことは、標準化したことを維持できる力を持っていること。
⇒かっこよくいえば、「カスタマーサクセス」「営業企画」「経営企画」「戦略総務」という感じです。
要は、「個別対応していることを仕組み化でき、維持できる力」です。
時代が変われば必要な仕事も変わる。
上記までの話をして、そのような時代になるか疑っている人もいるかもしれません。
しかし、時代によって必要とされる能力や仕事は変わります。
仮に「海外に電話をすること。」を事例にして説明します。
1990年前半は、一般的な家庭の人が海外に電話をするケースは稀でした。
また携帯電話も普及しておらず、固定電話が主流でした。
子供のころに、機会があって海外に電話をすることがありました。
そのころは電話交換手に電話して、手動でつないでもらうという時代でした。
今、海外に電話をする際に電話交換手を経由して電話することはありせません。
サーバーなどの機械がその代用をしています。
2020年現在、電話交換手という仕事はありません。
正社員事務員(事務アシスタント)に求められるスキルの変遷:バブル期~2020年まで
私自身が経験している現在の営業事務の現場の仕事に加え、あえて過去にさかのぼって、昔の事務員がどのような感じだったかも述べようと思います。
私の母は、バブル期の真っ只中に、誰でも名前を知っている会社で一般事務に従事していました。
今では考えられないようなことが、仕事として存在していた話を聞きました。
1970年代後半:私の母の時代の事務員(事務アシスト)の仕事
・生産計画や売上計画を手書きで集計して、表にまとめる。
・FAXが使えないえらいさんの代わりに、FAXする。
・ガリ版印刷、青焼き印刷という昔のコピー機みたいなものでコピーを取る
・ファイリングをする、データ入力をする、伝票発行をする、営業や現場への連絡をする。
・スケジュールを管理する秘書業務、役員の出張の手配
・はがきのあて名書き
・採用試験時の求めらるスキルは、そろばんが使えること。
・社員と結婚して寿退社すること。いい人がいないとお見合いを組まれる。
(実際に同じ職場で勤務していた父と結婚しています。)
2000年~2010年頃:私が営業事務員になった頃の、営業事務員の仕事
・生産計画や売上計画を手書きで集計して、エクセルでまとめる。
・パソコンが使えないえらいさんの代わりに、メールやエクセルで資料をまとめる。
・コピー機が使えないえらいさんの代わりに、コピーを取る。
・ファイリングをする、データ入力をする、伝票発行をする、営業や現場への連絡をする。
・スケジュールを管理する秘書業務、役員の出張の手配。
・社員と結婚すること。
(同僚や先輩や取引先で、同じ会社の人と結婚している人が多かったです。寿退社も半数くらいいました。)
※子供が生まれたら、フルタイムで事務員として働き続ける選択肢は少ない時代でした。
兼業主婦が当たり前にはなっていましたが、パートタイムで働くことが一般的。
2010年~2015年頃の営業事務員の仕事
・生産計画や売上計画を管理システムからデータを抜き取り、エクセルでまとめる。
・ファイリングをする、データ入力をする、伝票発行をする。
・外出している営業担当あてに届いたFAXを、過去のデータを参照して代わりに処理して、営業担当に報告する。
・定番商品の在庫手配などを、過去のデータを参照して営業担当の代わりに処理する。
※パソコン使えないえらいさんは、ほぼ絶滅しています。
※携帯電話とノートパソコンの普及で、営業担当や現場担当に問い合わせが直接行くことが増えており、電話の取次ぎをする程度の単純な仕事も減ってきていました。
※なお、社員同士の結婚はあまり聞かなくなりました。
同業他社で比較的古典的な社風の会社では、2020年現在でもよく聞きますが…。
全体的に学生時代の交際相手との結婚が増え、かつ寿退社はほぼ聞かないようになりました。
2015年~2020年の営業事務員の仕事
・データ入力をする、伝票発行をする。
・外出している営業担当あてに届いたFAXを、過去のデータを参照して代わりに処理して、営業担当に報告する。
・定番商品の在庫手配などを、過去のデータを参照して営業担当の代わりに処理する。
・在庫手配の基準などを標準化し、それに基づいて手配する。
・C.C.メールで送られてきた営業あての問い合わせを、過去のデータを参照して代わりに処理する。
・ある程度パターン化しているクレーム対応を、過去のデータを参照にして代わりに処理する。
※売上や生産の集計は、管理システムやエクセル等で自動化されており、誰でもできるようになっています。
勤怠管理や各種証明書などもクラウド/グループウェア化されており、最初の設定やデータ取り込みしておけば日々の管理集計は不要になっています。
2021年以降の営業事務員の仕事
・上記までの仕事を実行しつつ…
・少子高齢化で売上が減少の対策実行する上で、障害になっていることについて、改善企画実行あるいは補助。
・「年々細かくなっていく顧客要望」と「合理化を進めたい自社や協力工場」との間の、妥協点模索の企画実行あるいは補助。
・過去データ参照して処理することについて、標準化と処理ルール構築。
・企画実行やルールを決めたことについて、維持するための業務監査の企画実行あるいは補助。
マネージャーだけがこのような企画的な仕事を行うのではなく、他の部員や他部署の人も巻き込んで上記を推進しています。
合理化が進んだ結果、手間がかかって儲けが少ない業務や部署ごとのアウトソーシング化したり、廃止をしている取引先も増えてきています。
そこで入力や手配や作業をする人は、非正規が増えています。
私が過去に勤めていた会社においても、2000年頃なら正社員3人入れていた該当部署が、今は正社員1人+非正規2名で回しています。
企画力が無い人は、事務員(事務アシスタント)でもいらない時代になってきています。
少子高齢化と世界的な資源人件費高騰により、
言われたことだけやっていれば安定した地位や給料がもらえる時代は、年々シュリンクしています。
上記に記載しているように、「古典的な事務仕事」は減っていますし、「できて当然」扱いされます。
例えば、昔はパソコンすら使えない人が多かったので、その代行業務という仕事に価値はありました。
その方々もほとんどが退職をしています。
残った方々は、もともと「部下として代行業務」をしていた側だったので、他人に頼らなくても自分でパソコンを使えます。
もはや「できて当たり前」です。
企画力が無い人が不要になっている背景は、「日本の少子高齢化」が原因
団塊の世代がすでに退職している現在、既存のビジネスモデルでは設備を維持できない日本国内企業が増えています。
皆さんの近所でも、20年前からあったコンビニや店舗が潰れて、介護施設になっているという地域が多いのではないでしょうか?
バブル期の新興住宅地だった最寄り駅では、近年では利用者の定年退職とその子供たちの都市へ流出しました。
その結果、鉄道利用者が20年前の半分になっているところがあります。
日本の企業の大多数を占めるオーナー企業の中小企業でも、経営陣の世代交代が本格化しています。
2017年頃から製造業においては、70歳くらいの社長や会長⇒40~50歳くらいの息子に世代交代していることが増えています。
考え方も大きく変えざるをえなくなっています。
国内需要が目立って減っている為、今までの営業パターンで、新しい仕事を次々にとってこれる会社も少ないです。
特に製造業では売上拡大より確実に利益を上げることが求められ、どんぶり勘定をやめる企業も増えて、シビアな考えになっています。
楽して儲からない時代⇒コストパフォーマンスを重視される時代になった。
私自身が担当していた仕事で、歴代担当が何十年も試行錯誤と打ち合わせを繰り返して維持発展してきた商圏がありました。
最近、一定量の利益が確保できないという理由により撤退されたことがありました。
クレームをきっかけにし、手切れ金代わりに補償を行って撤退されました。
2008年のリーマンショック前までは他の商圏もあったし、それほど苦労せずとも新しい話もありました。
したがって多少儲からなくても、「トータルで利益が出ればOK」という、どんぶり勘定がよく見られました。
そのような古典的な営業スタイルでは通用しなくなっていることを痛感します。
AI化を語る前に、そのような社会環境化で事務員(事務アシスタント)だけ変化しないということはありえません。
「企画力=考えて実行する力(意思)」がない人は、定職すら危うい時代になると思います。
現在50歳以上の方は、リストラや倒産が発生しない限り、言われたことだけやり続けても逃げ切れると思います。
それ以下の年齢の人は、「企画力」をつける必要があると思います。
あるいは、成熟しきってすでに最低限の需要だけで仕事をしているニッチな仕事を探すかです。
(ただしニッチ産業は安定している代わりに、ワンマン経営が多く、古典的な考えが主流の為、事務員の給料は低めです。)






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